自らの内に備わる<復旧>の力~<実現傾向>について~

こんにちは。

今回の関東・東北地区を襲った台風19号の被害にあわれた皆様に心よりお見舞い申し上げます。

各地で復旧が急がれていますが、いかなる苦境に立たされようとも、人には自らを維持し、強化する方向に自分自身を発展させようとする自己成長力が備わっている、という心理学の考え方があります。

今日はこちらをご紹介したいと思います。
この考え方はアメリカの臨床心理学者(カウンセラー)のカール・ロジャーズが提唱したもので、「実現傾向」と呼ばれてます。

ロジャーズは『ある人間の在り方』という著書の中で「内的な刺激があろうとなかろうと、環境が良くても悪くても、生命体の行動は自己の維持、向上、再生産の方向にある」述べ、「実現傾向」を援護する例を同書において以下のように挙げています。

ロジャーズが少年のころ、自宅の地下室の貯蔵箱に冬の間に食用として保存されていたジャガイモがありました。ロジャーズによると、そのジャガイモは小さな窓から2メートルも地下に置かれていて、成長の条件として十分なものとは言えませんでした。

にもかかわらず、ジャガイモは芽を出そうとするのです。「春になって植えると出てくる緑の健康な芽とは似ていない青白い芽を出」し、「この悲しいきゃしゃな芽は窓からもれてくる薄日に届こうと、六〇センチも九〇センチも伸びる」のです。

この芽は奇妙な形であり、無駄でさえありますが、「生命体の基本的志向性の必死の表現」と見ることができるとロジャーズは言います。

それらは決して植物とはならず、成熟もせず、可能性を開花することはありませんが、逆境にあってそれらの芽は成長しようともがいているのです。

そして、このジャガイモの芽をカウンセリングにおけるクライアント(相談者)に例えて、ロジャーズは次のように続けています。

「恐ろしくゆがんでしまった人生を持つ来談者と面接しながら、(中略)私はよくあのジャガイモの芽を思い出します。

これらの人々は異常で、ゆがみ、人間らしくない人生を展開させてしまったひどい状況にいます。

けれども、彼らの中にある基本的志向性は信頼することができます。

彼らの行動を理解する手がかりは、彼らは彼らに可能な方法で成長と適応に向かってもがいているという事です。

健康な人間には奇妙で無駄と思えるかもしれないけれど、その行為は生命が自己を実現しようとする必死の試みなのです。

この前進的傾向が人間中心アプローチの基底ななのであります。」

つまり、人間はどんなに困難で苦痛な心理状態や生活環境にあっても、自分の内部に自分を回復させ成長させる傾向を持っているということです。

…ちなみに、写真はうちの息子が間もなく1歳になろうとしていて、つかまり立ちをしている頃のものです。(今は2歳👦)「困難」というのとは違うかもしれませんが、子ども、ひいては<人間>というものは、誰から教えられる訳でもなく、未熟な状態から自らを成長させようとするものだということは、こういった所からも伺えるのではないでしょうか。
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ここまでお読みいただき、ありがとうございましたm(_ _)m
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